笑福亭鶴瓶が過疎の村にある診療所の医師を演じる『ディア・ドクター』(西川美和監督)は、刑事による関係者の捜査と回想時制をシンクロさせながらストーリーを進行させるというスタイルが心地よい作品だ。

ヒューマンドラマでありながらも、ある種の謎を解いていく形式となっており、よくある医療ドラマとは一線を画すものに仕上がっている。診療所の医師をテーマにした映画といえば『赤ひげ』を思い出さずにはいられないが、両者を比較するのは野暮というものだろう。

劇場公開は6月27日だったが、公開直後に、西川監督自身の執筆による原案小説「きのうの神様」(ポプラ社刊)が直木賞候補作に選出されたこともあり、興行成績はじわり上昇した。

予期できない外部要因で興行成績が左右されることもあるから映画ビジネスはミズものなのだ。

きのうの神さま
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ゆれる (ポプラ文庫)
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