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魅力的な設定があれば、映画のフォームはひとりでに決まってくる。

ヴァンパイアの弱点は日光。どんなに恐ろしい目にあおうとも、翌朝になれば彼らの魔手から逃れることができる。だが、白夜の反対で、冬には決して陽の昇ることのない極夜(きょくや)が訪れるアラスカの地にヴァンパイアが現れたらどうなるだろうか。これがデヴィッド・スレイド監督の『30デイズ・ナイト』の状況設定である。

こうした状況が提示されれば、少しでもシナリオを勉強した者ならば、瞬間的に映画全体の構成が想起できるはずである。もちろん多くの観客もストーリー展開を予測することができるだろう。

こうした意味で、『30デイズ・ナイト』は設定がすべてであり、こうした映画を作る側は予定調和という制約のなかでいかに映画的な魅力を出すかに苦心することになる。

(アスミックエース試写室)