16日は午後1時から京橋のフィルムセンターで山本薩夫監督の『田園交響楽』を見る。

3幕構成は以下の通り。
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序:北海道に住むクリスチャンの小学校長、日野東作は、身寄りのない盲目の少女を引き取り、雪子と名づけて愛情を注いで育てる。最初は獣のように行動した雪子は教育によって、言葉を覚え、聡明になっていく。


破:雪子は東作を慕い、東作も雪子を教育する。東作の弟、進二が東京から北海道に来て、雪子の美貌を見て一目惚れする。

急:信二と雪子が接近するのを見て、東作は面白くない。信二は目の手術を進めるが、東作は拒む。雪子が男として自分を好きだという感情を確信した。東作は 雪子に東京で目の手術をさせる。東作は雪子を信二に託し、北海道に帰る。手術は成功し、雪子の目は見えるようになるが、東作がいないことに雪子は失望し、 北海道に戻ろうとして、雪の中で行き倒れになる。それを東作が発見し、雪子は意識を取り戻す。
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構造的には「急」の部分が詰め込み過ぎで、ストーリーのバランスが悪い作品となっている。展開が急すぎるうえに、ラストも完結していない。アンドレ・ジッドの原作を翻案したものだが、主人公の心理の動き、すなわち美貌の盲目の少女への感情が、庇護から女性に対する感情へと変わっていき、苦悩するという側面が明確に描かれていないため、中途半端な印象を拭えない。