1日から始まった難民映画祭。4日は東京・九段のイタリア文化会館で「扉をたたく人」、「ウォー・チャイルド」、「ウエルカム」が上映された。

トム・マッカーシー監督の「扉をたたく人」は2009年のアカデミー賞主演男優賞ノミネート作品だ。リチャード・ジェンキンスの演技が心の隙間に染み込む。

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毎年同じ講義を繰り返し、新しい論文を書く気力もない初老の大学教授ウォルターは、学会出席のためにニューヨークを訪れる。あるきっかけから黒人のカップル、青年タレク、恋人のゼイナブと共同生活を送ることになったウォルターはタレクが演奏する打楽器、ジャンベに心ひかれて交流を深めていく。

しかし、ちょっとしたことからタレクは逮捕されてしまう。9年近くアメリカに住んでいるが、彼は不法入国者だったのだ。9.11以降、移民に対する態度が変わってしまった。ウォルターは毎日面会に行き、弁護士を依頼し、彼を助けようとする。タレクの母親とウォルターとの交流も生まれる。だが、タレクは突然、移送され、国外退去になってしまう。どこにいったのかも分からない。

日本でも14歳の少女の両親がフィリピンへ強制送還されたというケースがあったが、それと似ている点もあるのではないか。

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上映後には質疑応答が行われた。

プロデューサーはこの作品を作るために長い間資金探しに奔走した。

難民は難民として承認されている人々と難民申請中の人々に分けられる。日本では、一度難民として承認されれば、教育、仕事、長期滞在などの面で保護の対象となる。だが、難民申請をしたとしても、申請がすぐに認められるわけではない。申請中というだけでは仕事をすることもできないのである。