日本初公開となるフィリップ・リオレ監督の「ウェルカム」。

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フランス北部の港町。17歳のクルド人難民の青年はイギリスへ密入国しようとして失敗する。彼はイギリスに住む恋人に会いたいのだ。彼は水泳を習い始める。イギリスへ泳いで入国するためだ。不法滞在者である彼と元メダリストの水泳のコーチとの絆が生まれる。だが、不法入国者に対する幇助はフランス人にとっても犯罪なのだ。

イギリスの恋人は父親の命令で他の男と結婚させられることになり、青年はいよいよ海峡を泳いで渡ろうとする。だが、イギリスに到着する直前で、彼は悲劇的な最後を迎える。

上映後の座談会では、テレビ朝日の宮嶋泰子さんが、「メダルを取った人の気持ちが分かる。コーチは自分のやってきたスポーツの原点を彼の中に見いだしたのではないか」と話した。

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取材体験を語る宮嶋泰子さん(右)

難民条約では、難民として認定されなかったとしても、本国が危険な状態にある場合は強制送還はされず、難民申請者は宙に浮いたままの状態となる。日本でもそのような人々は多い。近年、日本では1500人が難民申請をしているが、年50人程度が認定を受けたに過ぎない。麻生政権下で難民申請者に対する保護も打ち切られた。

ただ、ミャンマーからの難民のために日本が第三国定住の場所として名乗りを上げたという事実もある。2010年から3年間で100人(1年で30人)を受け入れることになっており、難民にとっては日本も少しずつ良い環境に向かいつつあるともいえるだろう。