難民映画祭。5日目の5日はセルバンテス文化センター東京で「クロスロード」と「ヨドク・ストーリー」が上映された。

アンドレア・スタカ監督の「クロスロード」は紛争で分裂した旧ユーゴスラビアからそれぞれ異なる背景を持ちながらスイスに逃れてきた3人の女性の人間模様を描いた2006年ロカルノ国際映画祭金豹賞(グランプリ)受賞作品。

img_fraulein(c) 2006 DSCHOINT VENTSCHR FILMPRODUKTION AG

3人は分裂して違う国になってしまった旧ユーゴスラビアの各地の出身だ。ひとりは移民として店を経営し、ひとりは難民として店で働き、またひとりは病に冒された旅行者として、異なる文化や宗教を持ちながら、時として心が触れ合い、また時として対立する。それぞれが弱いところを持ちながらも、相手を元気づけることを怠らない。

上映後のトークショーでは、TBSアナウンサー、秋沢淳子さんと特定非営利活動法人ジェン・旧ユーゴ事業担当の浅川葉子さんが対談を行った。

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秋沢淳子さん(左)と浅川葉子さん(右)

浅川さんはユーゴスラビアで発生した紛争の原因について、「ユーゴスラビアでは誰も戦争が起きるとは思わなかった。誰も憎しみあってはいなかった」と述べた。では、なぜ戦争が起きたのか。浅川さんが現地の人々に尋ねたところ、「気づいたら戦争になっていた。強いて言えば、政治や国際社会のさまざまなしがらみに巻き込まれてしまったのだろう」という答えが返ってきたという。(了)