難民映画祭。6日午後7時半からのドイツ文化センターの「ジェニンの心」は定刻から10分遅れで上映開始。満席状態で、立ち見のほか、最前列の前の床の上に座って鑑賞する観客も多かった。

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パレスチナ自治区のジェニン難民キャンプで1人の少年がイスラエル軍に誤射されて殺された。おもちゃのピストルを本物だと勘違いしたのだ。父親は悩んだ末、息子の臓器をドナーとして他の子どもたちへ提供する。だが、提供する相手の子どもたちはイスラエル人だった。このエピソードはメディアで放送され、父親は注目されることになる。息子の臓器は6人の子どもを救い、パレスチナとイスラエルの対立の融和への第一歩となる。

1年半後、少年の父・イスマエルは、移植を受けた子供たちを訪ねるため、イスラエルを巡る旅に出る。心の交流がある一方、子どもを助けられたユダヤ人の父親の一人は、「感謝はしているが、友人にはなれそうもない」とも漏らす。

頭のなかでは誰もがお互いに同じ人間であると言い聞かせていても、対立は根深い。実際は美文調の物語のように簡単にはいかないのが人間の不完全なところである。(了)

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満席のため、ステージの前の床に座って鑑賞する観客たち