1950年、台北の郵便局勤務の一人の女性、許金玉は労働運動に参加したことから、政府に反乱を企てるものとして投獄される。

曾文珍監督の「春天ー許金玉の物語」(2002)では、81歳となった許さんが過去において過ごした場所を巡礼しながら、「白色テロ」に時代にどのようなことが行われてきたのかを証言していく。郵便局、監獄のあった場所、そこには過去の不合理な仕打ちが染み付いているようだ。

許さんは、厳しい人生を送ってきたのにも係らず、決して苦労や暗い影を顔には出さない。日本人は台湾人に何をしてきたのか。怒りでもなく、悲しみでもなく、むしろ淡々と説明する許さんの姿に人間力を感じる。(了)

(2009年10月13日午後4時40分、山形市中央公民館にて鑑賞)