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儲かるか、損するか。ギャンブルをして、心がときめかない者はいないだろう。自分の金がかかっているのだから。博打は人が作った映画や演劇といったドラマよりも人々を興奮させる。

そんなギャンブルチックな証券のデイトレードを実際に舞台でリアルにやってみたらどうか。誰もが思いつきそうで、やらなかったテーマだ。

クリス・コンデック演出の『デッド・キャット・バウンス』は観客の支払ったチケット代を原資にして、上演中に実際にロンドン証券取引所で株式を売買する。

余剰が発生すれば観客はそれを山分けする。損が出ても観客はチケット代以外を支払う必要はない。1時間強のデイトレードで1%の利益が目標。ただ、原資が少ないので、実際に利益や損失が発生してもごく少額になる。

上演中にはデイトレードの合間に、インタビュー映像やオランダのチューリップの球根のバブルの話などが挿入される。

証券取引の教育用に使えるのは当然だが、そんな矮小化された楽しみ方だけではなく、非常に上質な経済エンターテインメントとして十分に成立している。

パフォーマー自身も、結果がどうなるか分からない。エキサイティングで洗練された舞台だ。

(2009年11月24日午後7時、にしすがも創造舎)