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もう年金だけでは暮らしていけないと、老夫婦が連続強盗に乗り出す。それも紳士的に。

ガーボル・ロホニ監督のハンガリー映画『人生に乾杯!』は、人物設定に趣向を凝らすことによって、よくありがちな犯罪者映画をほのぼのと心温まる小品に昇華させている。

強盗犯を紳士的な老人にするという発想だけで作劇を行った場合、下手をするとその滑稽さだけが全面に押し出された映画になってしまう危険がある。

しかし、本作の老夫婦は実にスタイリッシュでかっこいいのだ。なおかつ、映画のストーリーはわらしべ長者型。小さな出来事が次々にふくらんでいく。

若き日のふたりの出会いと現在を結びつける婦人のある行動(危機一髪のときに、ダイアモンドのイアリングを相手に渡す)の使い方がなかなかおしゃれだ。その他の道具。例えば、共産党員の公用車なども伏線となるようにきちんと用いられていて、さりげなく練られた脚本もいい。

(2009年11月30日午後6時、飯田橋ギンレイホール)