
緑の草木で覆われた庭での食事。美術品に囲まれた生活。明るい陽光。
オリヴィエ・アサイヤス監督の『夏時間の庭』はフランスのパリ郊外の一軒家を舞台にしている。母親が死に、遺品となった膨大な美術品をどうすればよいのかという問題を軸に物語が進行する。相続税が莫大なものになるため、結論としては家を売り、美術品は美術館に寄贈することになる。
家の売却と美術品の寄贈とリンクして、残された家族がどのようにバラバラになっていくのかということを丹念に描いていくと思いきや、映画はそうなってはいない。
淡々と日常会話が続き、美術品は美術館に寄贈することが素晴らしいという結論で映画は終わる。そこにはドラマはない。
これがもしドキュメンタリー映画だったとしたら、きっと面白い作品になったはずだ。この映画はフランスの郊外の雰囲気を楽しむためだけの映画なのだろう。
(2009年12月25日午後12時20分、飯田橋ギンレイホール)