50sai

夢遊病。ドラッグ。セックス。浮気。自殺−−。重たいエピソードが連なっていくが、なぜか暗くも重たくもない。

レベッカ・ミラー原作・脚本・監督の『50歳の恋愛白書』は、「理想の主婦」に見えた主人公、ピッパ・リーの過去の回想と人生を縛ってきたあるトラウマからの心の開放を描いている。だから、邦題と内容とはかなりのズレがある。

「理想の妻」である主人公の過去が語られていくにつれて、観客は現在の姿と過去にたどってきた道とのギャップに驚かされることになる。ピッパ・リー役のロビン・ライト・ペンはまさに聡明な妻のイメージそのままを演じている。

なぜ、自堕落な生活を送っていた彼女が、現在のような女性になったのか。物語は回想形式を取りながらそれを探る展開になっていく。ある急展開からラストまでは一気に見せる。

長編小説の題材としてはなかなか鋭い視点であろう。だが、90分弱の映画としてはどっちつかずの感が否めない。原作は主人公の内心の物語であり、題材が映画的ではないのである。

(2010年2月13日午前11時40分、新宿武蔵野館2)2010-20