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刺殺、死体解体、児童ポルノ。保険金殺人。石井隆監督の『ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う』は一般のモラルに反するパーツが次々と登場する。

よろず代行業の男は、ある女の居所を探るように依頼される。運命に翻弄され、堕ちていった女の正体は一体誰なのか。謎を追ううちに、男は欲望の深淵に引きずり込まれていく。

強烈な個性を持つ竹中直人だが、石井隆の強烈な個性を持つ演出の前ではむしろ正統派の演技にも見えてしまう。

佐藤寛子、東風万智子、井上晴美、大竹しのぶ、宍戸錠。いずれもくせのあるキャラクターを演じる。

男を利用しようとする女。不幸な女を助けずにはいられない男。人間の暗部のどろどろ感が漂う重厚な作品だ。

(2010年7月22日午後1時、映画美学校試写室)2010-87