
埼玉を舞台にしたすがすがしい人間模様。園田新監督の『ネムリバ』はアメリカから母親に文句を言うためにやってきたハーフの娘ミカ(小野まりえ)の添い寝サロンでの体験を描く。
ミカが成田空港に到着してから埼玉にたどり着き、ネムリバで働くことになるまでのスピーディーな展開は圧巻だ。映画を見る観客はまさに眠りたくても眠れないだろう。
添い寝をして、お客さんに安眠を提供するというネムリバという不思議な空間。最初はいかがわしい仕事だと感じていたミカは、失敗を経験しながら成長していく。
三輪明日美、鈴木砂羽らが演じるネムリバで働く人々のキャラクター設定は図式的だが、明快で魅力的だ。ゲイの経営者、トップソイネスト、興奮すると気を失う女性、不眠症のイケメン男性。ネムリバに集うマイノリティーたちを描くことで、映画の緊張感を持続させている。
埼玉名物の食べ物、店、グッズ。埼玉のローカル色を出すことで、ご当地映画としても楽しめる作りになっているが、むしろローカルな世界を描くことによって、普遍的な魅力を醸し出すことに成功している。
(2010年7月25日午後2時、SKIPシティ映像ホール、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭)2010-91