
アニメ、『らきすた』の舞台として使われたため、アニメの聖地となった埼玉県の鷲宮。北川敬一監督の『鷲宮☆物語 商工会の挑戦』は、そこを舞台にした地域ドラマである。
アニメで盛り上がっている鷲宮の地域活性化のために、鷲宮出身の若き映画監督が鷲宮を舞台にした映画を作ろうという劇中劇タイプの作品だ。
劇中劇の設定と同じく、地域活性化を目的として作られた映画なので、完全なエンターテインメント作品にはなっていない。また、劇場での商業上映に向いている作品でもない。
そういった意味で、この映画は地域活性化を目的に作られたにも関わらず、皮肉にも地域活性化に役立つことはないだろう。面白いことに、地域活性化といった目的など微塵もないはずの『らきすた』のほうが圧倒的に鷲宮の地域活性化に寄与しているのだ。
主演の上鶴徹も悪くはないが、鷲宮神社の巫女さんを演じたAKB48の増田有華がいい味を出していた。
(2010年7月28日午後2時30分、SKIPシティ多目的ホール、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭「彩の国地域発信映画プロジェクト」)2010-96