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海に飛び込む子どもたち。ラルストン・G・ホベル監督の『鉄屑と海と子どもたち』は、フィルピン、マニラ湾岸のスラム街、バセコで海に潜って鉄屑を拾っている子どもたちの物語だ。映画に出てくる15人の子どものダイバーは、現実に鉄屑を拾ってお金を稼いでいるのだという。

ある大きな仕事の後で、主人公の友人が海から戻らなくなってしまう。まるで人魚にさらわれたように。

ドキュメンタリーではないが、揺れ動くカメラワークと即興にも近いセリフなどが現実感を与える。ここに住む人々の貧しさが伝わってくる。不法就労や臓器売買。プロデューサーは、バセコに住む男性の70%は腎臓がひとつしかないと説明する。この映画は技法うんぬんでは語りきれない手作り感の溢れる作品だ。

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭長編コンペティション最終ノミネート作品。


(2010年7月31日午後2時30分、SKIPシティ多目的ホール、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭)2010-100