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最初から最後までテンションが上がりっ放しでたるみがない。ダリオ・アルジェント監督の『ジャーロ』は、妹を殺人鬼に誘拐された姉(エマニュエル・セニエ)が一匹狼の刑事(エイドリアン・ブロディ)とともに犯人を追う物語だ。

犯人は誰かという謎解きの要素はない。異常な犯人の性格描写がきっちりとあるわけでもない。ただ、異常者が美人を誘拐していたぶる。それを刑事が捜索する。伏線はない。

整然とした北イタリアのトリノの街並。そこに鮮烈な殺人描写が被る。殺人描写は痛々しいが、残酷すぎる訳でもなく、肝心の部分はカメラのフレームを外しているのがホラーの帝王としての貫禄だろう。

強烈な個性のあるダリオ・アルジェントだが、この作品ではあえて普通のサイコホラーを撮ろうとしているのが伺える。

独特の作家性が看板となっている映像作家が、あえてその作家性を意図的に消し去ろうとするととどうなるか。それは真に職業監督としての演出力の勝負となる。

最初から最後までハイテンションで、見どころだらけの作品である。


(2010年9月15日午前11時15分、シアタ–N渋谷)2010-130