国際協力機構理事長の緒方貞子氏は第5回難民映画祭のオープニングイベントで次のようにあいさつした。

「元難民弁務官の緒方貞子でございます。今日は一言、第五回難民映画祭の開催に当たりまして、お祝いを申し上げると同時に御礼を申し上げたいと思います」

「私は十年間、難民高等弁務官をいたしておりましたが、その間に映画はもちろんあったのだと思いますが、それをまとめた形で映画祭というようなものを催したり、難民についての関心を呼ぶために映画を使うということは実は考えておりませんでした」

「つまりわたくしおよびわたくしたちのおりました頃の者はそれほどイマジネーションが無かったということなのかも分かりません。どうして映画がそんなに強いアピールを持つかと言いますとやはり、視聴覚に訴えるということ、そして心に訴えるということ。そしてその結果、理性にも訴える。難民を保護し、支援するのが大事だというメッセージを強くお話の形で訴えるのだと思います」

「難民高等弁務官駐日事務所、そしてその事務所を支援しております協会、そしてその背後にたくさんの市民団体の方々、イオン1%クラブ、その他の方々、ここにおいでになる方々がたくさん支援していただいているということにわたくしは心からお礼を申し上げたいと思います。そしてまたもう一つ、先ほど(国連難民高等弁務官駐日事務所の)セルス代表が言われたように、また今回、日本への難民の定住というプログラムが始まりました」

「実は80年代の初めに、インドシナ難民を1万数千人定住させたことがあったのですが、それからは日本における難民の定住は非常に貧弱なものでした。そういう状況が続くということにわたくしどもとしては心を痛めたのですが、この度また30名の難民を引き受ける。そして定住の始まりが起こったと聞きまして、わたくしとしては大変励まされると同時に皆様によろしくお願いしたい。支援してください。難民はわたくしどもと同じ人間で、そしてその人たちを支援することによって、日本に迎え入れることによって、日本も国際的な役割、人道的な役割を十分果たせると考えるからでございます。宜しくお願いいたします。今日はおめでとうございました」

(2010年10月1日午後6時、ワーナーマイカルシネマズみなとみらい)