32931__sarah_photo_6

30日午後3時半から東京国際映画祭コンペティション部門の観客賞の授賞式が六本木ヒルズのムービーカフェ行われ、ジル・パケ=ブレネール監督の『サラの鍵』が栄冠を得た。

観客賞は、コンペティション部門の15作品を対象に一般客に投票を募り、最も多くの支持を得た作品に贈られる。

『サラの鍵』は、ユダヤ人迫害の動きが過激化する1942年のパリが舞台。幼い弟を納戸に隠したサラは、その鍵を手にしたまま収容所へ送られてしまう。過去と現代が交差し、歴史が封印していた悲痛な記憶が掘り起こされるベストセラーの映画化だ。

授賞式では、脚本も手掛けたブレネール監督に、港区山田憲司副区長より賞状、みなと委員会原保委員長より賞金1万米ドル、 みなと委員会須永達雄副委員長よりトロフィー、みなと委員会青野信次副委員長より花束が贈られた。監督は、港区スポーツふれあい文化健康財団花角正英事務局長から贈呈された記念のハッピに手を通してあいさつ。賞金を受け取ると「これで無事納税することができますよ」とジョークを飛ばし、観客の笑いを誘った。

ジル・パケ=ブレネール監督は満面の笑顔で次のようにあいさつした。
「本当に嬉しい限りです。観客賞は、とても特別な賞です。僕たちは観客の皆さんに見ていただくために映画を作っているんですからね。第二次世界大戦という現実を背景にしていますが、日本の皆さんにも共感してもらうことができたことについて、驚きと喜びを感じています。あまりにも思いがけないことだったので、スピーチの準備もできていません」

「実は、今回上映していただく前に、映画館に来ていた若い人たちに歴史に興味があるかと問いかけました。でも答えは「ノー」でした。ですからこういったかたちで、興味を持ってもらえたと実感できることは、非常に嬉しいことです」

「歴史、つまり過去は重要です。それがなければ未来を築くことはできません。私はそう信じています。そういったことからも、この映画を選んでいただけたことは、大きな意味を持っていると思います。この場をお借りして、東京国際映画祭の関係者の皆さまにお礼申し上げたいと思います。それから観客の皆さまにももちろん感謝しています。本当に、本当にありがとう」