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© Libretto Films - Norma Productions

31日午後2時から東京・港区のTOHOシネマズ 六本木ヒルズのスクリーン7で、東京国際映画祭のクロージングセレモニーが開かれ、コンペティション部門のグランプリである東京サクラグランプリにはニル・ベルグマン監督のイスラエル映画『僕の心の奥の文法』が選ばれた。ベルグマン監督が同映画祭でグランプリを受賞するのは2002年の『ブロークン・ウィング』に次いで2度目。審査員特別賞は98歳になる新藤兼人監督の『一枚のハガキ』に贈られた。

ベルグマン監督は「8年前、『ブロークン・ウィング』でこの賞をいただきました。映画づくりはプロセスが重要で、賞をとることじゃないと言ってきました。ただ、受賞作品はイスラエルでも成功しましたし、賞を受賞することの重要性にも気付きました。自分のつくる映画がどのように受け止められているかを実感できるからです。本当にありがとうございました」とスピーチした。

コンペティション審査委員長のニール・ジョーダンは、「審査委員は、小さな劇場でコンペティション部門の作品を見ました。素晴らしい体験でしたが、映画を次から次へと見ていると、人間がつくっているものであることを忘れてしまいます。しかし、多くの人たちが関わって映画はつくられているわけで、今日皆さんの顔を見ることができて嬉しいです。選ぶのに大変苦労しましたが、皆さんにも納得していただける結果であったと思います」とコメントした。

また、審査員特別賞を受賞した新藤兼人監督に向けて「私は16歳の頃ダブリンで新藤さんの映画を2本見て非常に感銘を受けました。その他にも日本の素晴らしい作品を見ましたが、新藤さんの作品は今でも心に残っています。当時は、まさか自分が映画をつくる仕事をするとは思っていませんでした。この度は、監督の作品が含まれているコンペティション部門で審査委員長を務めさせていただき、また、新藤さんに賞をお贈りできたことは幸せな体験でした」と述べた。新藤兼人監督は、この『一枚のハガキ』が最後の監督作品だと表明している。
 
各部門の受賞作品は次の通り。
コンペティション
東京 サクラ グランプリ 『僕の心の奥の文法』  (監督: ニル・ベルグマン)
審査員特別賞 『一枚のハガキ』  (監督: 新藤兼人)
最優秀監督賞  ジル・パケ=ブレネール  (『サラの鍵』)
最優秀女優賞 ファン・ビンビン  (『ブッダ・マウンテン』)
最優秀男優賞 ワン・チエンユエン (『鋼のピアノ』)
優秀芸術貢献賞  『ブッダ・マウンテン』 (監督: リー・ユー)
観客賞  『サラの鍵』  (監督: ジル・パケ=ブレネール)
 
TOYOTA Earth Grand Prix
TOYOTA Earth Grand Prix 『水の惑星 ウォーターライフ』  (監督: ケヴィン・マクマホン)
TOYOTA Earth Grand Prix 審査員特別賞  『断崖のふたり』 (監督: ヨゼフ・フィルスマイアー)
 
アジアの風
最優秀アジア映画賞 『虹』(監督: シン・スウォン)
スペシャル・メンション 『タイガー・ファクトリー』(監督: ウー・ミンジン)
 
日本映画・ある視点
作品賞 『歓待』(監督: 深田晃司)