この映画を語るには、「黄色い星」とは一体何を意味するかから始めなければならない。黄色い星とは、ナチスの支配下にあったフランスでユダヤ人が衣服の胸に付けることを義務付けられた印のことである。
ローズ・ボッシュ監督の『黄色い星の子供たち』は、1942年にフランス政府によって行われた史上最大のユダヤ人一斉検挙を詳細に追いかける。
1942年7月16日の夜明け前。ユダヤ人の一斉検挙がパリで始まった。子供も女性も冬期競輪場に閉じ込められ、満足な水も食事も与えられない。人々は弱っていく。彼らを治療するのが、看護婦のアネット(メラニー・ロラン)と、ユダヤ人のシェインバウム医師(ジャン・レノ)である。
引き裂かれた母と子。子供のノノは母に会えると信じて、トラックに向って走り出す。だが、母はすでに処刑されており、トラックに乗ったノノもすぐに処刑される運命にある。実に印象的なシーンだが、こういう子供がいたということはこの映画のモデルとなった実在の看護婦が覚えていたのだという。
ジャン・レノは今までにない役どころを手堅く演じる。『オーケストラ!』『イングロリアス・バスターズ』と影のある美女を演じたメラニー・ロランが繊細な演技を見せている。
フランスにおけるユダヤ人迫害という同じ題材を扱った作品にはタチアナ・ド・ロネの同名ベストセラー小説を映画化した『サラの鍵』がある。こちらの作品も過去と現在を行き来する構成の脚本と繊細な演出が秀逸な作品だ。
まるでゴミを焼却するかのようにユダヤ人が燃やされていく。映画ではそれを具体的に描写することはしないが、その残酷さは痛々しい。
今夏、TOHOシネマズシャンテ、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー。
(2011年3月25日15時30分、京橋テアトル試写室)
