ALICE01
(C) CINEMANX FILMS TWO LIMITED 2009


3人に限定された登場人物。彼らの駆け引きこそがこの映画の肝だ。

J・ブレイクソン監督・脚本の密室劇『アリスクリードの失踪』は、女を誘拐する男ふたりと誘拐される女ひとりの心理劇だ。


刑務所仲間のヴィック(エディ・マーサン)とダニー(マーティン・コムストン)は誘拐を計画する。ヴィックが計画を練り、ダニーが富豪の娘アリス・クリード(ジェマ・アータートン)を標的として設定する。

ごく普通の誘拐映画のように始まるが、三人の人間関係が明らかになるにつれて、ストーリーは思わぬ方向に動き出す。三人はそれぞれ秘めた考えを持っている。

ゲーム理論というのは、ある特定の条件下で利害が異なる複数の主体の間で生じる戦略的な相互関係を説明するための理論だが、3人の登場人物はまさにこの理論に従って行動しているかのようだ。

登場人物が3人で、舞台も主に監禁場所という限られた設定。当然、低予算映画なのだが、やはり映画は予算だけで決まるものではないことが分かる。

ただ、この作品はシナリオの巧みさだけではなく、アリス監禁時のちょっとした描写がえぐい。体を拘束されて監禁されていれば当然、一人では食事もできないし、排泄もできない。こうしたシーンを撮ると、時としてえげつない描写になりがちだが、この映画でもやはりインパクトがある。
『アリスクリードの失踪』はコンパクトな設定を最大限に生かした佳作といえるだろう。


[監督・脚本]J・ブレイクソン
[出演]ジェマ・アータートン、マーティン・コムストン、エディ・マーサン
[原題]THE DISAPPEARANCE OF ALICE GREED
[DATA]2009年/イギリス/ロングライド/101分/PG12





(2011年3月29日午後3時30分、京橋テアトル試写室)