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『薔薇とサムライ』は、劇団☆新感線の舞台をデジタルシネマで収録・編集して映画館で上映するゲキ×シネシリーズの1本。

17世紀、ヨーロッパのイベリア半島。大泥棒・石川五右衛門(古田新太)は女海賊のアンヌ・ザ・トルネード(天海祐希)の用心棒として、地中海で暴れ回っている。ある日、アンヌが小国の王家継承者だと判明。王亡き後の腐敗政治を聞いた彼女は、女王就任を引き受ける。最初の仕事は海賊の討伐だ。不本意ながら、アンヌの仲間を守っていた五右衛門と対立。一連の出来事を不審に思った五右衛門は、アンヌを救い出すべく城に乗り込んだ。

このような舞台劇用のストーリーだから同然、実写映画にはならない。だから舞台を収録するのがいちばんなのだ。もともと、劇団☆新感線のこの舞台は、映像を意識したビジュアル的な側面を全面に押し出した演出がなされていることもあり、舞台をスクリーンで見たとしても違和感はない。

カット割りは目まぐるしい。だから、生の舞台を見るよりもむしろテンポが早く感じるという面もあるだろう。脚本の展開の早さと相まって、映像は映像なりに舞台とは別の作品として成立している。


(2011年4月15日午後7時、アキバシアター、試写)