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ゆうばり国際ファンタスティック映画祭会場の澤田直矢フェスティバル・ディレクター(2月28日) 



北海道夕張市で毎年2月末に開かれている「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」も通算21回目となった。ただ、映画祭の歴史には紆余曲折がある。同映画祭は1990年に誕生し、国内有数の映画祭にまで成長したが、夕張市の財政破たんにより、いったん休止。その後、市民映画祭として2008年に復活し、 今年は新生4年目だった。映画祭運営の舞台裏などについてフェスティバルディレクターの澤田直矢さん(43)に話を伺った。

―今回の観客動員はいかがでしたか。
「目標の1万1000人は達成しましたが、昨年よりは約1割減になりました。ただ、これは織り込み済みです。昨年は20周年記念ということもあり、小栗旬さんなど、一般の方にも分かりやすい訴求力のあるゲストにお越し頂きました。では今年はそうではなかったのかといえば、そうではありません。今年も良い作 品が多く、特にコンペティション部門など、全体的に作品の最低ラインが上がったと思っています。今回は結果として映画ファンにより訴求できる形になりました。それで1万人以上にお越しいただけるということがすごいと思っています」

―今年はスケジュール的に満腹感があり、上映会場も1カ所増えましたね。
「増えた会場は、もともとは炭鉱系の映像企画で、別企画の会場として予約していたのですが、補助金などが別なので、本編のプログラムには載せていませんでした。そのような理由で押さえていた会場なのですが、その企画以外の時間帯が空いていたため、他の作品を上映しようということになり、多くの上映作品を入れました」

「常連の方からは、会場を行き来するのが大変だとか、上映時間が重なるために多くの作品を見ることができないという声をよく聞きます。ただ、開催期間は実質3日間であり、予算も増やせません。例えば午前10時、午後1時、4時、7時、10時といった時間割を組めばいいのですが、それだと本数が稼げません。 あとは物理的な日程を延ばすということですが、1日延ばすと経費として数百万円は増えますので難しいところです。ただ、会期の延長には、いつかチャレンジしたいと思っています」

―外部からは開催期間の5日間しか、スタッフの苦労が分からない部分もあるのですが、映画祭の準備は年間を通して行っていらっしゃると思います。フェスティバルディレクターとして、日頃の仕事はどのようなものなのでしょうか。

「僕がやる作業はそんなに多くありません。プログラミングなどは担当者がいますし、候補に上がってきた作品に対して、それ行きましょうとか、それはちょっとみたいなこともたまにありますけどね。年間通じてやっているのはお金関係ですね。本格化するのは秋ぐらいからです」

「何とか新規の協賛の方にお願いしたいということで動いています。毎年1社2社は新しい協賛先が入ってきますので、ありがたいことだと感じています。お金集めは開催日直前までやっています」

「例えば、競輪の助成金は、来年の分は去年の10月ぐらいに出しています。そういう作業を、事務局にやっていただいているのを見て、ここをこうするとお金が増えるのではないか、逆にこれはできないなどと話をしています」

―協賛金については映画祭のほうから提案していくという形ですか。
「あまり奇をてらったことはしていません。基本的に夕張に興味がある企業さんなので、夕張市自体のことや夕張でこのような映画祭をやっているということをまず知っていただくところから始めます。そこでメディア露出などのメリットを説明させていただいたりしながら協賛をお願いしています」

―今年の予算は5000万円強だということですが。
「今年は補助金が若干多かったです。例えば、道路に夕張トリビアの看板が立っていますよね。あれも補助金によるものです。いくつかの企画を結びつけて申請を出しました。事業収入などはまだ全然見えていませんが、大体5000万円ぐらいだろうと思います。例年と同じか少し多めですね」

【つづく】