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澤田直矢フェスティバル・ディレクター(2月28日) 



―今回、コンペティションのグランプリは日本映画ではなくて韓国の『エイリアン・ビキニの侵略』になったということで、いかにもインターナショナルな感じですね。
「海外からの応募も結構来ています。パーセンテージでいうとまだまだですが、1割くらいにはなっています。今回の『エイリアン・ビキニの侵略』で、韓国からの出品も相当増えるのではないでしょうか」

―よく言われるのはコンペティションに短編と長編が混在しているということですが、どちらかと言うとグランプリは長編が受賞しがちです。ハンディを付けるなり、短編と長編の部門を分けた方がいいのではないかという話もよく聞くのですが。
「これはもう20年前から言われていることですが、現行のままでいくことになります。そういうものだということでお話するしかないですね。過去に短編でグランプリを受賞している作品も当然あります」

―今年は映画祭の企画内容を変えられました。去年と比べて全体的に大きく変えるという感じではなく、一部に違っているところがあったという感じでしたが。
「これだけたくさんの人がかかわってくると、急ハンドルは切れないです。1年ごとに違う形や方向を持つのは難しいですが、4年間で見た場合、2008年と2011年を比べてみるとだいぶ変わったのではないでしょうか」

―重要視するのは、例えば、人員やメディアに掲載される件数でしょうか。また、それ以外の経済効果などを算出するといったことは計画されていますか。
「重視するのは、人数と露出ですね。また、経済効果については、誰か手伝ってくれたらうれしいです。オフィシャルとしてそういうことは重要です。特に新聞では数字が出るとファクトとしていいんですよね」

―提携しているプチョン映画祭との関係はいかがでしょうか。
「規模は向こうの方が大きいので、ノウハウを使ってもらうといったことは無いのですが、ただ、作品の情報交換はやっています」

―やっぱりジャンル映画のファンは連帯感が強いですよね。国内にはファンタ系の映画祭がそれほどある訳ではないのですが、他の映画祭との連携のような構想はありますか。
「どちらかというと、既存の映画祭同士よりも、新しく立ち上げようとする映画祭との連携はあるかもしれないです。その話も今回の映画祭の飲み会の中や普通に話をしていくなかでありました」

―最近ぴあフィルムフェスティバル(PFF)などでは巡回上映をすることがあります。ゆうばり映画祭の場合はこの場所でやるからいいという面もありますが、同じプログラムをどこか別の地域でやるという構想はないのでしょうか。
「権利関係で色々と大変だったりします。上映ごとにまた交渉しなければいけないわけですから。ゆうばりがPFFと違うのは、PFFは100%作品が主体の 映画祭なのですが、ゆうばり映画祭の場合、夕張という場所が非常に重要なファクターです。作品は見て欲しいのですが、作品だけを切り取ってゆうばりセレク ションみたいなことをやるのは、どうなのだろうかということは正直あります」

―確かに、場所がやっぱりそこを形成して、人を呼び寄せるみたいなものがありますしね。
「作品で観客を呼べないと言っているわけではないのですが、ビジネスになるのであればやりたいです。少々ビジネス的なことをいうと、やって赤字が増えるの だけは勘弁して欲しい。巡回をやるとなると、それだけのお金とマンパワーが必要です。ひょっとすると、それだけでワンチームが必要になります」

―総括すると、今年の映画祭はどんな感じだったでしょうか。
「映画祭には、ものすごく盛り上がる年と、ちょっとゆっくりした年があります。今までのゆうばり映画祭の歴史をみていても、勝新太郎さんが来た5周年の 1994年の後の95年には何があったのだろうというとぱっと出てこない。だからと言って一生懸命にやっていないわけではありませんし、気を抜いているわけでもありません。100%できることをやっています」

「昨日のパーティや夜の雰囲気を見て、今年もすごく良かったんだなと思いました。参加したゲストやお客さんが、それぞれ自分たちなりに、映画祭を形作り、 楽しんでいるということを実感しました。みんながそれぞれ映画祭を持ち帰ってくれている。特にクリエイターの人たちは持ち帰ってくれていると思いました」

―映画祭の運営もだんだんと安定してきた印象を受けるのですが。
「いや、そんなことはないです。実際、何かあればゆうばり映画祭など消し飛んでしまいます。予算が後1000万円足りずに4000万円しかなければこの規模の映画祭はできません」

―来年度も日程的には2月下旬ですね。
「決まりです。これはホテルのからみがあるので仕方がありません。2月の中旬に戻して欲しいという話もあるのですが、その時期は教育関係のスキー合宿や市民のスキーの仕事が入るため、宿が少なくなります。基本的に映画祭というのはオフシーズンにやるものです。沖縄でも3月が一番お客さんは少ないはず でしょうし、カンヌも5月6月ですからね。サマーバカンスの前じゃないですか。ベネチアはそれが終わった後じゃないですか。冬のベルリンなんて寒くて行き たくないという時ですよね。映画祭の日程はそういう風にできていますというしかありません」

―ありがとうございました。【了】