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上映会場のひとつ油伝味噌(撮影:矢澤利弘)

5月19日と20日の2日間、栃木県栃木市で第5回栃木・蔵の街かど映画祭が開催された。この映画祭の特徴は、栃木の街の景観を生かしているところだ。

栃木市には、約300棟の蔵や日本家屋、昭和初期の建造物群、かつて流通の要だったうづま川など、美しい歴史的景観が数多く残っている。江戸時代や明治時代に建てられた歴史建造物蔵をミニシアターに変貌させる全国初の歴史景観活用型の映画祭である

この町には現在、映画館はない。映画は市内に点在するホールやいくつかの民間の蔵のなかで上映される。蔵のなかにプロジェクターとスクリーンを設置し、観客は座布団に座ったり、パイプ椅子に座ったりしながら映画を鑑賞する。年にこの2日間だけ街中にミニシアターが出現することになる。
上映される作品は旧作が中心で、コンペティションはない。だが、座談会や若手映画作家養成プロジェクトの短編映画の上映、書道パフォーマンスなど、映画上映だけにとどまらない趣向も凝らされている。

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中田蔵では『書道ガールズ』や『かもめ食堂』など4作品が上映された。

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油伝味噌内の上映スペース。座布団に座って映画を鑑賞する。

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『ブラック・スワン』『武士の家計簿』を上映する岡田記念館南は満席となった。