赤狩りで追放されたが、偽名でB級映画を作り続け、『スパルタカス』『ジョニーは戦場に行った』などの名作で甦った脚本家ダルトン・トロンボの生涯と彼の関わった作品を追った労作である。
本書は次のような構成になっている。
謝意
序章
1章 コロラドからハリウッドへ(1905−1938)
2章 パートタイム映画脚本家(1938−1940)
3章 栄光への道(1940−1942)
4章 「善い」戦争(1943−1946)
5章 地下へ(1947−1956)
6章 使命を持った男(1956−1959)
7章 反逆的な英雄(1960)
8章 本業への復帰(1960−1961)
9章 仕事に励む職人(1962−1969)
10章 過去から抜け出して(1970−1971)
11章 たそがれ(1971−1976)
訳者あとがき
原註
フィルモグラフィ
目次からも分かるように、彼の人生と仕事をオーバーラップさせながら、本書は続く。
映画脚本の仕事とは何かを説明するのによく引き合いに出されるのが、大工仕事だ。大工は建物を作るために自らの創意と一緒に道具と技術を駆使する。大工と同じように、素晴らしい映画脚本家とは、その創作物の息が長いことだ。その点でダルトン・トランボは、月並みな登場人物、同じような会話、複雑な展開から抜け出すのに偶然性に頼るなど、拙い作品もあるとはいえ、映画脚本家の中でも突出している。トランボにはほかの脚本家とは一線を画した根本的な職人技があるのだ。(23ページ)
トランボは芸術家というよいも職人なのだ。決まった仕事をこなすだけのやる気のない作品も多い。