手堅くまとまりつつも、どことなく突き抜けている。磯谷渚監督の『天使の欲望』は、電車のなかで痴漢狩りをする女子高生たちの話である。こういう設定だけを聞くと、勧善懲悪の必殺仕事人みたいな復讐ものや自警団ものを連想しそうになるが、この映画はそういう展開にはならない。
露出狂をボコボコにしたという話を聞いたことにインスパイアされ、それを痴漢に変えてストーリーを作ったという。痴漢をボコボコにしていくのは清々しいが、そこに少女たちのトラウマが重なっていく。
冒頭からスピード感のある演出で、一気に見せる。無駄のない編集はさすがだ。オールアフレコで作ったため、口の動きと音声が一致していなかったりする部分があったりするが、それは些細なことに過ぎない。ラストの主人公の行動には、なんとなくすっきりしないものが残る。ただ、観客をすっきりさせないことが狙いであるならば、その試みは成功しているといえる。
(2014年3月1日午後1時、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭、ホワイトロック)(矢澤利弘)
露出狂をボコボコにしたという話を聞いたことにインスパイアされ、それを痴漢に変えてストーリーを作ったという。痴漢をボコボコにしていくのは清々しいが、そこに少女たちのトラウマが重なっていく。
冒頭からスピード感のある演出で、一気に見せる。無駄のない編集はさすがだ。オールアフレコで作ったため、口の動きと音声が一致していなかったりする部分があったりするが、それは些細なことに過ぎない。ラストの主人公の行動には、なんとなくすっきりしないものが残る。ただ、観客をすっきりさせないことが狙いであるならば、その試みは成功しているといえる。
(2014年3月1日午後1時、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭、ホワイトロック)(矢澤利弘)