女体銃ガンウーマン メインm

 スクリーンから観客に向けて強烈なオーラを発している映画に出会うことがある。『ゆうばり国際ファンタスティック映画祭』のオフシアター・コンペティションで審査員特別賞を受賞した光武蔵人監督の『女体銃 ガン・ウーマン』は、まさにそんな映画だ。とてつもなく力強いパワーを持った痛快なバイオレンス映画の傑作である。

 体の中に拳銃を埋め込んで隠す。女はそれを取り出してターゲットを暗殺する。この魅力的な設定だけでも身震いしそうになるが、光武監督は、見事にそれを映像化した。レイプ、血糊、セックス、ドラッグ、復讐、といったバイオレンス映画の刻印が次々に登場し、スピード感溢れる展開を見せる。

 この映画の魅力のひとつはスタッフとキャストの見事なチームワークだ。「血しぶきがわたしの一張羅」。そんな惹句でも生まれそうな亜紗美が光る。女暗殺者を全裸でまさしく体当たりで演じた亜紗美にとって、この映画は彼女の代表作になるだろう。敵役を演じた鎌田規昭も死体を愛好する異常性格者を見事に演じきっている。ディーン原田の音楽も耳に焼き付くような存在感だ。
 
 池田敏春監督の『人魚伝説』がやりたかったと光武は語る。同作も血しぶきと裸を詰め込んだパワフルなアクション映画で、「俺のやりたかったことはこれだ」というスクリーンから作り手の息づかいが聞こえてくる痛快な映画だった。『女体銃』も明らかに同じだ。スクリーンから強烈なオーラを発してくる。観客はそれを全身で受け止めなければならない。


(2014年2月28日午後2時、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭、ホワイトロック)(矢澤利弘)