doraemon
(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2014

 ジャイアンは思っていたよりもカッコいい。しずかちゃんは思っていたよりも色っぽい。スネ夫は思っていたよりも周囲のことを考えている。そして、のび太は思っていたよりもしっかりしている。彼らの冒険は終わらない。

 八鍬新之介監督の『ドラえもん 新・のび太の大魔境〜ペコと5人の探検隊』は、1982年に公開された『ドラえもん のび太の大魔境』のリメイク作品。 1933年12月1日生まれの藤子・F・不二雄の生誕80周年記念である。藤子・F・不二雄が62歳で亡くなったのが1996年9月23日だから、早いものでもう没後18年近くになる。

 現代。世界中の秘境という秘境はその謎が解き明かされ、人類未踏の地はもう残っていないようだ。そんなことを感じたジャイアンとスネ夫は、まだ誰も知らない秘境への探検を望む。自分たちの力だけで冒険を成し遂げようと、ジャイアンはドラえもんの持っている未来の便利な道具をほとんど残して、一行は秘境探検へ出発する。

 突然に襲ってくる数々の危機に、彼らは立ち向かなければならない。いつものように、ドラえもんの道具でちょちょいと解決という訳にはいかないのである。そこが本作の最大のポイントで、のび太たちは、自らの力でピンチを切り抜けなければならないのが見せ場となってくる。
 
 ジャイアン流の責任の取り方が胸を打つ。権力を持つものは責任も負う。肝心な時に仲間を守るのが親分の親分たるゆえんだ。

 ジャングル奥地にそびえ立つ謎の巨神像が動き出すクライマックスはゴーレムや大魔神を彷彿させるほどの高揚感だ。彼らの冒険は終わらない。ラストは『バック・トゥー・ザ・フューチャー』のようにすがすがしい。


(2014年3月8日午後1時東宝シネマズ緑井スクリーン7)(矢澤利弘)