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『存在しない南』は、1980年生まれで新進気鋭のファビオ・モッロ監督の長編デビュー作である。イタリア南部の港町、17歳のグラツィアは、5年前に死んだとされる兄の不在に苦しみ、兄について沈黙する父には反発していた。ある日、海に入ると兄らしき姿が現れる。兄の生存を信じ始めたグラツィアは、真実を探し求める。その頃、魚屋を営む父親は、マフィアから店の売却を迫られていた。

リアルな映像に詩的な表現を時おり織り込みながら、親子の愛憎だけでなく社会の問題も描かれる。本作はトロント国際映画祭などにも招待されている。

2013年/90分 原題:Il sud e niente
監督:ファビオ・モッロ Fabio Mollo