![]() | 映画宣伝ミラクルワールド 東和ヘラルド松竹富士独立系配給会社黄金時代 斉藤 守彦 洋泉社 2013-10-29 by G-Tools |
サーカムサウンド、メモリアル・セミテル保証、ビジュラマ・・・。一体これらは何なのだろう? おそらく実際に映画を撮った監督たちに、これらの言葉の意味を尋ねても、首を傾げるに違いない。
1980年代に思春期を迎えた映画ファンは、映画のハッタリ宣伝がトラウマになっている世代である。この頃は映画のタイトルを言えば、宣伝方法や惹句が同時に思い浮かぶ作品ばかりだった。
目次
プロローグ 1976年12月18日。『キングコング』VS『カサンドラ・クロス』
第1章 インディペンデント系配給会社が元気だった年
第2章 1977年6月。超高性能戦略兵器『サスペリア』
第3章 東和、ヘラルドのホラー映画戦略
第4章 1978年4月。ブルース・リー『死亡遊戯』への道
第5章 1978年12月。『ナイル殺人事件』とアイドマの法則
第6章 1979年2月。予期せぬヒット!!『Mr.Boo!』『電光石火』
第7章 地獄の邦題会議
第8章 1980年2月。ヘラルドがすべてを賭けた『地獄の黙示録』
第9章 1980年9月。ジャッキー・チェンと、ひとりの宣伝マン
第10章 1981年5月。『エレファントマン』と、川喜多会長の死
第11章 新聞広告には、パターンがある
第12章 スピルバーグを打ち負かした、『キャノンボール』『エンドレスラブ』
第13章 ローカルでの2本立てこそ、インディペンデントの醍醐味!!
第14章 『ブッシュマン』がまき起こした、空前のミラクル
第15章 1983年7月。コケた『メガフォース』と、当たった『少林寺』
第16章 イベント宣伝蛮行録
第17章 予告編とTVスポット
第18章 1982年12月。『ランボー』とシルヴェスター・スタローン
第19章 海外大物プロデューサーとのジョイント
第20章 1983年。『幻魔大戦』『東京裁判』—東和の日本映画たち
第21章 1984年10月。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』と、有楽町マリオンのオープン
第22章 1985年2月。『アマデウス』と松竹富士
第23章 『ネバーエンディング・ストーリー』と『西太后』
第24章 忘れられない、意味不明な造語たち
第25章 「ヘラルドの精神は、進んでトライすることだ!」『乱』
第26章 1986年。「冬の時代」の到来
第27章 1988年1月。『ラストエンペラー』”アドはPull、パブはPush”
第28章 1988年9月。『レッドブル』とアーノルド・シュワルツネッガー
第29章 1990年3月。『フィールド・オブ・ドリームス』。原点回帰と起死回生
第30章 1991年8月。東和宣伝の集大成『ターミネーター2』
あとがき
主要参考文献
索引
第1章 インディペンデント系配給会社が元気だった年
第2章 1977年6月。超高性能戦略兵器『サスペリア』
第3章 東和、ヘラルドのホラー映画戦略
第4章 1978年4月。ブルース・リー『死亡遊戯』への道
第5章 1978年12月。『ナイル殺人事件』とアイドマの法則
第6章 1979年2月。予期せぬヒット!!『Mr.Boo!』『電光石火』
第7章 地獄の邦題会議
第8章 1980年2月。ヘラルドがすべてを賭けた『地獄の黙示録』
第9章 1980年9月。ジャッキー・チェンと、ひとりの宣伝マン
第10章 1981年5月。『エレファントマン』と、川喜多会長の死
第11章 新聞広告には、パターンがある
第12章 スピルバーグを打ち負かした、『キャノンボール』『エンドレスラブ』
第13章 ローカルでの2本立てこそ、インディペンデントの醍醐味!!
第14章 『ブッシュマン』がまき起こした、空前のミラクル
第15章 1983年7月。コケた『メガフォース』と、当たった『少林寺』
第16章 イベント宣伝蛮行録
第17章 予告編とTVスポット
第18章 1982年12月。『ランボー』とシルヴェスター・スタローン
第19章 海外大物プロデューサーとのジョイント
第20章 1983年。『幻魔大戦』『東京裁判』—東和の日本映画たち
第21章 1984年10月。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』と、有楽町マリオンのオープン
第22章 1985年2月。『アマデウス』と松竹富士
第23章 『ネバーエンディング・ストーリー』と『西太后』
第24章 忘れられない、意味不明な造語たち
第25章 「ヘラルドの精神は、進んでトライすることだ!」『乱』
第26章 1986年。「冬の時代」の到来
第27章 1988年1月。『ラストエンペラー』”アドはPull、パブはPush”
第28章 1988年9月。『レッドブル』とアーノルド・シュワルツネッガー
第29章 1990年3月。『フィールド・オブ・ドリームス』。原点回帰と起死回生
第30章 1991年8月。東和宣伝の集大成『ターミネーター2』
あとがき
主要参考文献
索引
全30章にも及ぶかなりの労作である。プロローグが1976年の『キングコング』vs『カサンドラ・クロス』。そして最終章に当たる第30章が1991年の『ターミネーター2』。およそ15年間に渡る独立系配給会社の宣伝部の黄金時代を追っている。
各章はテーマ別になっており、編年体の構成ではないので、年代順に映画宣伝の歴史を追っていく記述にはなっていない。映画宣伝について、ばらばらに書いた短い原稿を集めて一冊にしたような本の作り方になっている。ただ、それぞれの章でメインに扱う映画の公開年月に合わせて、各章は古い順に並べられているので、最初から読み進めていけば、なんとなく時代の感覚はつかめるだろう。
ただ、決して配給会社の「社史」にはなっていないのがいい。あくまでもジャーナリストの視点から配給会社の宣伝活動を活写している。だから、宣伝担当者のかつての自慢話に終始するわけではなく、時として宣伝のまずさを批判したり、宣伝の態度自体を叱咤している部分もある。そこに著者である斎藤の心意気というものだろう。
本書は研究論文ではないため、読みやすさが優先されるので仕方がない部分もあるが、本文中にちりばめられている新聞広告などの画像には出典を示すキャプションが欲しかった。というのは、自分でも新聞の縮刷版を紐解きながら、広告の掲載された当時の雰囲気を体験してみたいと思ったからだ。また、参考文献については、主要参考書籍・雑誌として17のタイトルが掲げられているが、こちらも詳しい参考文献リストが欲しかったところだ。
決して著者の意見を押し売りするのでもなく、きちんとした取材に基づいた情報を活用して客観的な記述をしているのはさすがベテランの映画ジャーナリストである。史料的にも価値のある一冊だといえる。(矢澤利弘)
![]() | 映画宣伝ミラクルワールド 東和ヘラルド松竹富士独立系配給会社黄金時代 斉藤 守彦 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() by G-Tools |
