GUEST

 ホセ・ルイス・ゲリン監督の『ゲスト』は、世界中の映画祭に招待された同監督が、各地で暮らす人々の生き様を撮影したドキュメンタリーである。

 映画祭にゲストとして参加するために訪れた様々な土地を描いていくというテーマからは、華々しいフェスティバルの様子を写し取った作品だという先入観を持ってしまうかもしれない。しかし、本作で描かれるのは、そんな華々しい世界とは真逆である。映画祭が開催される町に住む地元の人々の生々しい生活が被写体だからだ。

 これはゲリンによる極私的な日記なのだ。だから他人の日記など読んでも面白くも何ともないと思う人々に取っては、この映画を見てもやはり面白くもなんともないだろう。

 それでは、この映画をどのように見ればよいのだろうか。日記を書いた本人の体験を追体験する気持ちで臨むしかないのではないだろうか。

(2014年4月26日、広島市映像文化ライブラリー)(矢澤利弘)