sankin

思わず長い道のりを歩いて旅してみたくなる。本木克英監督の『超高速!参勤交代』は五日以内に参勤交代せよと命じられた弱小貧乏藩の藩主一行は知恵と根性で江戸を目指すロードムービー時代劇である。命令に従わなければ藩はお取り潰し。そんな枷が課せられたサバイバルドラマだ。城戸賞を2011年に受賞した土橋章宏のオリジナル脚本を映画化した。

行く手を阻む敵が次々に現れ、当然、行く手を阻む敵が次々に現れ、一筋縄には進ませてくれない。腹黒い権力者からの圧力、裏切り、運命的な男女の出会い、そんな障害を乗り越えながら、一行はなんとか切り抜けていく。いくら地元では大名だといっても、弱小藩だと一歩外へ出れば水戸黄門のようにはいかないのである。まるで時代劇版『恐怖の報酬』である。

主人公の内藤政醇役の佐々木蔵之介はいかにもお人好しで人に好かれる殿様を好演。宿場町の飯盛り女役の深田恭子も一見すると下品だが実は人間味のある町人を違和感なく演じている。

(2014年8月19日午前10時5分、八丁座壱)(矢澤利弘)