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政略結婚であったり、莫大な遺産を相続するためであったりと、誰とでもいいから、一定の期間内に相手を探して結婚しなければならない。そんなミッションを課せられた主人公が奮闘する主人公。最初はゲームの駒としか思っていなかった相手だったが、主人公は次第に真実の愛に目覚めていく。

こんな骨格をしたストーリーの映画は少なくない数がある。パスカル・ショメイユ監督の『バツイチは恋のはじまり』もそんな映画の一本だが、設定や構成などが洒落ている。

初婚が必ず失敗に終わるというジンクスを抱えた一家に生まれた適齢期のイザベルが本命の恋人と結婚する前に、何とかして他の男性と一度結婚してすぐに離婚しようとする。主人公を突き動かす動機付けとしては弱く、まるでおとぎ話である。しかし、こんなリアリティのない話だからこそ楽しく見ていられるのだ。狙いを定めた相手を必死でその気にさせようとする女性を演じるダイアン・クルーガーが魅力的だ。実際、こんな美女に迫られたら大抵の男はメロメロになってしまうだろう。そんな美女がナイロビ、モスクワ、コペンハーゲン、パリと、ターゲットを追いかけていく。

映画は、イザベルの家族たちが夕食をしながら、彼女のそうした婚活の様子を過去形で語っていくという構成になっている。だから、ところどころ、イザベルの活動を描く過去形のパートから、彼女の家族たちの夕食場面という現在形のパートに引き戻されることになる。それが単調になりがちなストーリー展開にアクセントを与えている。

(2014年9月24日午前10時、サロンシネマ壱)(矢澤利弘)

(写真:『バツイチは恋のはじまり』-(C) 2012 SPLENDIDO QUAD CINEMA / TF1 FILMS PRODUCTION / SCOPE PICTURES / LES PRODUCTIONS DU CH'TIMI / CHAOCRP DISTRIBUTION / YEARDAWN)