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ふとしたことから喧嘩を始めてしまった友人とであれば、いつでも仲直りをすることができる。でも、喧嘩をした相手がもしも死んでしまったとしたらどうだろうか。和解をする機会は永遠に失われる。もし、死んでしまった喧嘩相手が自分の親だったら。

二宮健監督の『眠れる美女の限界』は、三十路手前の売れない女優(いや、女優志望のぐだぐだしている女性なのか)の心の旅を描く。

現実の旅を描くロードムービーに対して、映画というメディアを使って、心の旅を描くのは難しい。多くの場合、現実の世界と幻の世界がない交ぜになって映像化され、ストーリー性が希薄になる。それはそれで構わないのだが、よっぽどうまく撮らないと、映画はフィルムメーカーの独りよがりのような作品となってしまい、描こうとするものが観客には伝わらずに終わる。

『眠れる美女の限界』は、ヒロインのキャラクターを象徴するかのように、サイケデリックなビジュアルデザインで彼女の心の世界を描く。それが違和感なく映画全体に散りばめられていく。

フィルムメーカーに対しては、「もう少し自由に撮ってもいいのでは?」などと言いたくなってしまう面もあるが、この作品について言えば、まさに幻夢と現実の世界の「限界」の線引きがほどよくなされているといえるだろう。

(2015年2月21日午前10時、ホテルシューパロ嶺水の間、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2015、オフシアターコンペティション)(矢澤利弘)