Hurdle_ST4

ぞっとするラストだが、それが人間の本音かもしれない。パク・ソンジン監督の11分の短編『ハードル』は、アルツハイマー病の母の面倒を見続けている娘の心の奥を描く。

描いているのが心の奥であって、心の闇ではない。アルツハイマー病の身内を持つものにとって、毎日の生活は楽しいはずがない。近くにいるのは母親であっても、母親は自分の娘を娘だとは認識できない。他人であろうが身内であろうが本能だけで人間に噛み付くゾンビのような存在なのだ。

娘はある夜、テレビでハードル競技の番組を見る。番組に触発された娘の行動と最後のささやくようなセリフ。それが人間というものの本質を物語る。ラストシーン。母親は何を感じたのだろうか。

ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2015インターナショナル・ショートフィルム部門出品作品

(2015年2月20日午前10時、ホテルシューパロ錦水の間)(矢澤利弘)