『メイクルーム』メイン

ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2015のオフシアター・コンペティションでグランプリを受賞した森川圭監督の『メイクルーム』は、AV(アダルトビデオ)撮影現場のメイクルームでの1日を描いたシチュエーションコメディである。

描かれるのはメイクルーム一室のみで、カメラは部屋から出ていくことはない。いわゆる一幕ものの作品だ。もともとは2010年に上演された舞台の映画化であり、設定やセリフなどは舞台とほぼ同じである。

入れ替わり立ち替わり、個性的なキャラクターのAV女優が登場し、ふんわりとしたエピソードが連なっていく。メイクアップアーティスト役の森田亜紀を中心に、一癖も二癖もあるキャラクターが織りなす群像劇だ。

86分の尺のなかで、ダレる部分が全くなく、全編が安定していて無駄がない。森川監督によると、撮影期間は2日間で、20万円ぐらいの予算で撮ったという。

同映画祭のオフシアター・コンペティションでは最高齢の50歳でのグランプリ獲得となった森川監督。次回作はこの作品の3カ月後を描いたパート2を作りたいと意気込む。

(矢澤利弘)