『A Special Day』メイン


記録ビデオを思わせる一人称カメラ。デビットとクリスティーナの結婚式だ。二人が愛を誓い合おうとする瞬間、教会の天井を破ってスーパーヒーローが不時着してくる。ダニエル・パドロ監督の短編映画『スペシャルデイ』は、こんな出だしから始まるドタバタ劇だ。

ネタばらしをしてしまえば、『奥さまは魔女』のごとく、奥さまは正義の味方であるスーパーヒロインの仮の姿なのであった。そんな設定であるため、教会にはヒーローやヒロインらが入り乱れ、最終的に、夫は、「それでも妻を愛せるか?」という踏み絵に直面することになる。

12分の尺のなかに、手際よくテーマを織り込み、テンポのある作品に仕上がっている。ビデオカメラによる一人称の画面は、最近はだいぶ食傷気味になってきているため、どうしても作品の新鮮味が薄れてしまう。それが惜しいが、スピードとテンポでぐいぐい押してくるパワフルな作品である。

ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2015インターナショナルショートフィルムコンペティション出品作品。

(2015年2月22日午前10時、ホテルシューパロ錦水の間)(矢澤利弘)