黒い魂

 フランチェスコ・ムンズィ監督の『黒い塊』(DVD発売時改題『黒の魂』)は、イタリアの巨大犯罪組織「ンドランゲタ」が拠点とする小さな町を舞台に、抗争に巻き込まれた3兄弟の運命を描いた犯罪ドラマである。犯罪で巨額の富を築いた彼らは羽振りがいいように見えるが、いつも自分が誰かに殺されることに脅えている。実は割りの悪い職業なのではないだろうか。

 本作は南イタリアにあるカラブリア州アスプロモンテの山村アフリコを舞台にした三兄弟の愛憎劇である。原作はアフリコ出身の作家ジョアッキーノ・クリアコの同名小説。ムンズィ監督はこの本に惚れてしまい、犯罪組織ヌドランゲタの世界に興味を持ったという。

 それにしても、ラストの主人公の行動はなんだったのだろう。狂気からだったのか、それとも計算のうえなのか。


(2015年5月3日10:20、有楽町朝日ホール、イタリア映画祭)(矢澤利弘)


黒の魂 [DVD]
マルコ・レオナルディ
オンリーハーツ
2016-04-08