普通に生きているってなんだかいいね。アレクサンドル・コフレ監督の『サンタ・クロース』は、サンタに扮した泥棒と少年の一夜のふれあいを手際よく描く。
6歳のアントワーヌは、サンタ・クロースに興味津々だ。クリスマスの夜、寝付けないアントワーヌは、窓から入ろうとするサンタの衣装を着た泥棒を本物のサンタと思い込み、彼のあとを追いかける。泥棒は刑務所を条件付きで一時出所しており、朝までには再び刑務所に戻らなければならない。
どうしてもサンタのそりに乗りたいアントワーヌは、そりの修理のための資金を集めるために金製品を集めているのだという泥棒の言葉を信じ込み、泥棒の盗みの手伝いを始めるのだった。
泥棒といっても意外に優しく、最後にはカタギに戻ろうとする。この映画は、道を踏み外した男がごく普通の人間として生まれ変わるまでのドラマでもある。ラストのひねりも効いている。
(2015年7月24日午前11時、SKIPシティ多目的ホール、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭)
(矢澤利弘)
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