ビヘイビア_main


 いわゆる問題児というのはどんな学校にもいるのではないだろうか。そんな彼らを厄介者だとして学校から排除するべきか。それとも彼らのことを理解して守ってあげるべきなのか。エルネスト・ダラナス・セラーノ監督のキューバ映画『ビヘイビア』は、過酷な環境のもと、必死に生き抜こうとする少年チャラと、彼を理解し、愛情を注ぐベテラン女教師カルメラのドラマである。

 チャラは11歳ながら、闘犬の訓練で生活費を稼ぎ、薬物中毒の母親と暮らしている。問題行動も多く、学校でも煙たがられる存在だ。だが、担任教師のカルメラは、そんな彼を理解して見守っている。ある日、カルメラは街角で倒れて入院するが、代理でやってきた若い教師はチャラに手を焼き、再教育のための学校に転校させてしまう。

 しかし、退院してきたカルメラは自分の責任でチャラを元のクラスに戻す。転校させてしまえば、チャラはもっと悪くなると考えたからだ。だが、そうしたカルメラの行動は教育組織からは白眼視され、学校を追われることになる。

 チャラは問題児なのではない。生きていくために子供であり続けることが許されなかっただけなのだ。そう考えると、普通の子供でいられることがどんなに素晴らしいことなのか。この映画のラストはそれを教えてくれるだろう。

 主演女優のアリーナ・ロドリゲスの迫力のある演技はこの映画にリアリティをもたらしている。また、出演した子供たちには演技の経験がなく、映画で描かれている環境で育った素人である。カルメラは実在する教師をモデルにしており、撮影時には実際に多くの助言をもらったという。

写真:(c)RTV COMERCIAL, Ernesto Daranas & Alejandro Perez

(2015年7月24日午後2時30分、SKIPシティ多目的ホール、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭)
(矢澤利弘)