c 2014 LA FERME PRODUCTIONS SAS et C.PRODUCTIONS
「やわらかい肉が欲しい」というのは確か『ゾンビ』の惹句の一つだったが、フランク・リビエール監督の『ステーキ・レボリューション』は、映画を観た後にまさにこんな気分にさせられるドキュメンタリー作品である。
カメラは、世界一美味しいステーキを探すために、20カ国、200軒以上の有名・無名のステーキハウスをめぐる旅を追う。フランスはもとより、スウェーデン、イタリア、スウェーデン、アメリカ、そして日本に至るまで。また、各国の牧場から精肉店、ステーキ店に至るまで、牛肉に関するありとあらゆる流通過程を取材していく。
一口に牛肉といっても、国によって人々の好みも違う。日本では赤身と脂身が程よく混じり合った霜降りの状態が好まれるが、ヨーロッパではむしろ赤身が好まれるといったように、人の嗜好は様々だ。また、日本では、牛肉はご飯のおかずなので、厚切りのステーキよりもすき焼き、しゃぶしゃぶ、牛丼といったように、薄切りのほうが人気があるといった説明も出てくる。
それにしても、和牛のステーキの繊細な味。それはもう芸術品である。ステーキといえば、肉を切って焼くだけの簡単な料理だと思ったら大間違いである。魚を切って握ったご飯に乗せるだけの単純な料理に見える寿司が、実は職人の技術を結集させた料理であるように、美味しいステーキの調理法には、それぞれの店ごとに秘伝がある。身近な食べ物の奥の深さを認識する一本である。
(2015年11月28日午前10時、サロンシネマ、食と農の映画祭)(矢澤利弘)
カメラは、世界一美味しいステーキを探すために、20カ国、200軒以上の有名・無名のステーキハウスをめぐる旅を追う。フランスはもとより、スウェーデン、イタリア、スウェーデン、アメリカ、そして日本に至るまで。また、各国の牧場から精肉店、ステーキ店に至るまで、牛肉に関するありとあらゆる流通過程を取材していく。
一口に牛肉といっても、国によって人々の好みも違う。日本では赤身と脂身が程よく混じり合った霜降りの状態が好まれるが、ヨーロッパではむしろ赤身が好まれるといったように、人の嗜好は様々だ。また、日本では、牛肉はご飯のおかずなので、厚切りのステーキよりもすき焼き、しゃぶしゃぶ、牛丼といったように、薄切りのほうが人気があるといった説明も出てくる。
それにしても、和牛のステーキの繊細な味。それはもう芸術品である。ステーキといえば、肉を切って焼くだけの簡単な料理だと思ったら大間違いである。魚を切って握ったご飯に乗せるだけの単純な料理に見える寿司が、実は職人の技術を結集させた料理であるように、美味しいステーキの調理法には、それぞれの店ごとに秘伝がある。身近な食べ物の奥の深さを認識する一本である。
(2015年11月28日午前10時、サロンシネマ、食と農の映画祭)(矢澤利弘)