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 4月29日から5月5日まで東京・有楽町朝日ホールで開催されているイタリア映画祭2016(東京会場)では、5月1日午後3時45分から来日ゲストらによるトークセッションが開かれ、「愛」をテーマに意見交換が行われた。登壇したのは(写真右から)『皆はこう呼んだ「鋼鉄ジーグ」』のガブリエーレ・マイネッティ監督、『私と彼女』のマリア・ソーレ・トニャッツィ監督、『あなたたちのために』のジュゼッペ・M・ガウディーノ監督、司会は東京国際映画祭作品選定ディレクターの矢田部吉彦氏が務めた。

 愛をテーマにした映画を作ることについて、ガウディーノ監督は「独立映画のなかで愛の物語でやっていくことは簡単ではない。映画作家は自分たちの作品を自分自身で検閲してしまうことがある。例えば、『あなたたちのために』で主人公アンナは自殺してはいけない。テレビで流せなくなるから、などという規制をしてしまう」と自分自身の経験を披露した。

 それに対して、トニャッツィ監督は自らの監督作の『はじまりは5つ星ホテルから』が興行的なヒットを記録した経験から、映画制作上の規制について「私にはなかった。イタリアでは成功するとプロデューサーが突然甘くなって監督の好きに作れるようになる。前作『はじまりは5つ星ホテルから』のときには50代の女性の映画は誰も見ないと言われたが、結果として映画はヒットした。そうすると、(『私と彼女』の題材になっている)レズビアンの映画を作りたいといってもオーケーとなった」と、イタリアの映画業界の特徴の一つを紹介した。
 
(2016年5月1日午後3時45分、有楽町朝日ホール、イタリア映画祭2016)(矢澤利弘)

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