
ジョナス・カルピニャーノ監督のデビュー作『地中海』は、移民という今日的な問題にリアルな演出で迫る。カンヌ国際映画祭の批評家週間に出品されたのをはじめ、世界の多くの映画祭で上映されている。
ブルキナファソの青年2人は、より良い生活を求 めてヨーロッパに向かう。命を賭けてボートで地中海を渡り、イタリア南部にたどり着くことに成功する。けれども、待ち受けていたのは、アフリカで夢見ていたイメージとはほど遠い厳しい現実だった。
一般的な人々が抱くイタリア映画のイメージとは程遠い、社会派のドラマである。今の時代、どこの国でも移民には厳しい試練が待ち構えている。それはイタリアでも例外ではないのだ。
(2016年5月2日午後1時30分、有楽町朝日ホール、イタリア映画祭2016)(矢澤利弘)