IMG_7450

広島国際映画祭2016では11日、ユベール・ヴィエル監督の『アルテミス、移り気なこころ』が上映され、上映後には質疑応答が行われた。

同映画はブリィヴ・ヨーロッパ中編映画祭でフランスグランプリを獲得している59分間の作品。美術学校の女子学生で、孤独なアルテミスと奔放なルームメートカーリーとの友情を描いている。

ふたりの女性を描いていることについて、ヴィエル監督は「女性をテーマにしているのは普遍的なところがあります。一生をかけて女性を描く画家もいます。自分が特別だとは思わない」とコメント。

この映画は現実と寓話性が同居した作品に仕上がっている。このことについて、ヴィエル監督は「かつてフランスでは映画は写実的でなければならないという規則のようなものが存在していました。それにうんざりし、拒否反応を起こしていた時期もありました。フランス映画にはポエジーが欠けていると思ったのです。アルテミスのシナリオを書いているとき、宮崎駿監督の『崖の上のポニョ』が上映されており、それを見て感動以上のものがありました。象徴の扱い方に私と共通するものを感じたのです」と説明した。

この映画はほとんどの部分がモノクロで処理され、回想シーンだけがカラーになっている。また、部分的にスーパーエイトのフィルムで撮影した部分もあるなど、そのままフィルムをつないでしまうと、画調が不統一になってしまいそうだ。そうしたことから「黒と白という二つの色だけで全てのシークエンスをまとめて、統一した」のだという。「黒と白にすることで神話的な夢のあるイメージにしたかった」とのことだ。

 本作は当初、25分から30分程度の短編映画にするつもりだったが、編集をすると1時間を超えてしまった。そこで作り直して映画館で公開されることになったという。

(写真はユベール・ヴィエル監督(右))

(2016年11月11日、午後8時、NTTクレドホール、広島国際映画祭)(矢澤利弘)

artemis01