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バイオリニストの早稲田桜子Sweetコンサートが11日、広島県廿日市市はつかいち文化ホールさくらぴあであった。姉の早稲田眞理さんがピアノを演奏し、姉妹での共演となった。

2月14日のバレンタインデーを前に「愛」に関連するバイオリンの名曲を愛を込めて演奏し、会場を愛でいっぱいにするという願いをSweetコンサートというタイトルに込めた。

早稲田桜子さんは、東京藝術大学音楽学部卒業。卒業後は米国バークリー音楽院に留学。2002年から2年半パリで暮らし、イブリー・ギトリス氏に師事。現在は全国各地の小学校などでバイオリンの生演奏を行い、多くの人々に音楽の魅力を伝える「アウトリーチ」の活動に積極的に取り組んでいる。

第1部のプログラムでは、エルガー「愛の挨拶」、マスネ「タイスの瞑想曲」、クライスラー「中国の太鼓」、映画『ニュー・シネマ・パラダイス』より「愛のテーマ」、ポンセ「エストレリータ」、葉加瀬太郎「情熱大陸」、トルストイ「3びきのくま」が披露された。「3びきのくま」は、トルストイ原作の絵本で、舞台に絵本の映像が大きく映し出され、朗読に合わせて、バイオリンとピアノを演奏する形で進められた。6人兄弟姉妹の末っ子の桜子さんは、上の兄弟姉妹と年齢が離れており、幼い頃はひとりで遊ぶことが多く、絵本を読んで自分の世界を膨らませることが多かった。「3びきのくま」はそんな幼い頃に好きだった絵本だ。廿日市市立吉和小学校の阿比留時彦教頭が演奏に合わせて絵本を朗読した。

広島県の中山間地域に位置する同小学校の全校生徒は26人。春から秋にかけて、児童らはランドセルに熊よけの鈴をつけて登校する。去年6月、さくらぴあのアウトリーチの取り組みで、桜子さんが吉和小学校を訪れて子供たちにバイオリンの演奏を届け、音楽交流をしたことがきっかけとなり、この「3びきのくま」の企画が生まれた。

迫力がある大きな恐ろしい親熊の声にはピアノの低音の響きがぴったりで、かわいい小熊の坊やの声には、バイオリンの高い音を合わせ、お話しのイメージを膨らませた。会場の子供たちはもちろん、大人も引き込まれる楽しい演出だった。

第2部は、バッハ「G線上のアリア」、バッハ「シャコンヌ〜無伴奏パルティータ第2番ニ短調BWV1004より」、ジョプリン「イージーウィナーズ」、ラヴランド「ユーレイズミーアップ」、ピアソラ「リベルタンゴ」が演奏された。

「シャコンヌ」は、桜子さんが「世界で一番好きな曲」。はじめて弾いたのは高校生の頃で、それ以来、はじめて演奏するホールではいつも弾くことにしている。15分間バイオリン1本だけで演奏する曲で、メンタル面、技術的にも難しい。桜子さんにとって、「心が疲れているときに無心で弾きはじめると、弾き終わる頃には胸のつかえがとれ、力を与えてくれる曲」だという。観客には、お腹の下の丹田の辺りに手を当て、うつらうつらしながら聴き、音楽にすべてをまかせてリラックスして聴くことを勧めていた。そのとおりに聴いてみると、本当に夢見心地で、美しい、時に物悲しい旋律が心にスーッと入り、15分間が長く感じると同時に、あっという間でもあるような不思議な感覚を覚えた。

アンコールは、ブラームス「子守唄」とモンティ「チャールダーシュ」の2曲。盛りだくさんのプログラムで、2時間を超える熱演を終えた。


(2017年2月11日午後2時30分、はつかいち文化ホールさくらぴあ)(城所美智子)