shalala


 「よくわからない」というのが、この映画を見た人の率直な一言だろう。ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2017のファンタスティック・コンペティションで上映された柘植勇人監督の『人間シャララ宣言』は、京都造形芸術大学映画学科の卒業制作作品である。

 明確なストーリーがあるわけではなく、なかなか話が進んでいかない。どことなく、一昔前の学生映画の懐かしさを感じさせる作品だ。銭湯で全裸のまま主人呼応が床のタイルの上を滑っていくシーン、二人の女性が縄でつるされているシーンなど、様々な印象的なシーンが表れる。自主制作の強みを生かした自由な作品である。

 大学の卒業制作だけあって、4年間一緒にいた仲間が一緒になって撮った映画らしさがにじみ出ている。スタッフ、キャスト、それぞれの気持ちと思いが込められているのが分かる。突然、歌と踊りが始まるといったように、自由奔放な展開が初々しい。この「よくわからない」という印象は、映像でなければ描けない世界を描いているからだろう。 

(2017年3月3日午後12時ゆうばりホテルシューパロ2階嶺水の間、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2017)(矢澤利弘)