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NHK交響楽団による「N響ゴールデン・クラシック」が3日、東京都台東区の東京文化会館大ホールであった。指揮はオーヴェルニュ室内管弦楽団音楽監督・首席指揮者のロベルト・フォレス・ベセス、バイオリンソロは若手実力派ソリストとして注目されている大江馨が担当し、チャイコフスキーの代表作である「バイオリン協奏曲」と「交響曲第5番」などを演奏した。

開演前にはプレコンサートが行われた。開演50分前から約20分間、大江とN響メンバーが3曲演奏し、早めに会場に到着して開演を心待ちにしている観客を沸かせた。

1曲目は、大江のバイオリンで、バッハの「無伴奏パルティータ第3番よりプレリュード」。2曲目は、大江とN響ビオラ首席の佐々木亮によるモーツァルトの「バイオリンとビオラの為のソナタK.423より第1楽章」と続いた。3曲目は、大江が第1バイオリン、N響コンサートマスターの篠崎史紀が第2バイオリンを担当して、ベリオの「デュオ・コンチェルタンテ第1番より第1楽章」。まだ20代の若い大江と、N響のベテラン奏者達による息のあった演奏が聞かれた。

チャイコフスキーの「バイオリン協奏曲」の繰り返し現れるバイオリンソロの見せ場では、大江は切れ味の鋭いリズム、正確な音程、豊かな音色で、堂々たる演奏を披露した。

N響と大江のソロの掛け合いはうまくかみ合い、第3楽章のフィナーレを迎える頃には、最高潮の盛り上がりを見せ、5階席までいっぱいに埋まった会場の観客の心を揺さぶった。鳴り止まない拍手に応えて、大江はバッハの無伴奏パルティータ第3番より「ガボット」を華やかに演奏した。

休憩を挟んで、後半はチャイコフスキーの「交響曲第5番」。ロベルト・フォレス・ベセスのダイナミックな指揮と、N響による絶妙なバランスの重層的な響きで、感動的なフィナーレを迎えた。会場からはブラボーとアンコールの拍手が長く続いた。

アンコール曲はチャイコフスキーの「弦楽セレナーデ第2楽章ワルツ」。弦楽器の明るい演奏でコンサートを締めくくった。

大江馨:1994年生まれ。第82回日本音楽コンクール第1位、第63回全日本学生音楽コンクール全国大会第1位。第6回横浜国際音楽コンクール第1位。第14回日本演奏家コンクール第1位併せて文部科学大臣賞。ザルツブルク=モーツァルト国際室内楽コンクール2013第1位。これまでに山下一史、円光寺雅彦、尾高忠明、山田和樹各氏等の指揮でNHK交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、仙台フィルハーモニー管弦楽団、東京交響楽団などと多数共演。


(2017年5月3日、東京都台東区東京文化会館大ホール)(城所美智子)

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