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音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2017」が4日から6日まで、東京都千代田区の東京国際フォーラムをメーン会場として開催されている。同音楽祭のテーマは「LA DANSE 舞曲の祭典」。4日に行われたバイオリンの竹澤恭子の公演でも、スペインとルーマニアの舞曲がプログラムに取り入れられていた。

竹澤恭子の公演の初めは、スペインのファリャ作曲・クライスラー編曲の「スペイン舞曲」。この曲はオペラ「はかなき人生」の中の1曲で、クライスラーによる編曲は、多くのバイオリニストが演奏する定番曲だ。竹澤は踊るように身体を大きく動かしながら、叙情的な音色を響かせた。

次に、ハンガリーの作曲家バルトークの「バイオリン・ソナタ第1番」が披露された。バルトークがハンガリーの民族音楽のリズム、旋律、構造を研究し、それらを西洋の伝統的な音楽様式に展開したのがこの曲。バイオリンによる表現の無限の可能性を感じさせる演奏だった。バイオリンとピアノがそれぞれ別の曲を弾いているようにも聴こえ、絶妙に絡み合い、現代的な音楽が作り出された。

3曲目は20世紀最高のバイオリニストと言われるアメリカのクライスラーの「ウィーン奇想曲」。難解にも感じられた2曲目の後だけに、重音で奏でられる美しいメロディーにほっと癒される観客も多かったはずだ。

4曲目はバルトークの「ルーマニア民族舞曲」。全6曲の舞曲を情感豊かに歌い上げた。竹澤がクライスラーの曲を演奏するときのバイオリンの音色と、バルトークの曲を演奏するときの音色には大きな違いがあり、作曲家の求める表現を楽譜から読み取り再現していることが強く現れていた。

アンコール曲は、ブラームスの「ハンガリー舞曲第1番」。最後も叙情的な舞曲を演奏し、公演を締めくくった。

ピアノは児玉桃。公演時間は午後9時から50分間で、会議室に設けられた仮設のステージで、熱い演奏が行われた。260人の観客は、夜の有楽町で音楽祭ならではの雰囲気を満喫したようだ。


竹澤恭子(バイオリン):1986年インディアナポリス国際ヴァイオリン・コンクール優勝。NYフィル、シカゴ響など世界の主要オーケストラと多く共演。パリ在住。

児玉桃(ピアノ):1991年ミュンヘン国際コンクール最高位。ベルリンフィル、ボストン響などと共演。パリ在住。

(2017年5月4日、東京国際フォーラム、ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2017)(城所美智子)